印鑑の種類や格安販売の仕組みについて

印鑑の歴史は非常に古く、日本では現在でも公的な書類の作成に不可欠です。用途別に様々な種類がある他、おしゃれな雑貨品としても注目されています。また、印鑑は高級品のイメージがある一方で格安品が広く出回っているのも事実です。

印鑑を上手に扱うためにも、日本での印鑑の歴史や格安品の販売システムについて学びましょう。

富や権力の象徴だった古代の印鑑

印鑑の起源ははっきりしていませんが、紀元前の古代文明の時代にはすでに王族などの権力者が所持していました。エジプトや中東、中国など各地で同時多発的に使われるようになったと言われていますが、当時の印鑑は持っていること自体が大きなステータスだったのです。

富や権力の象徴であり、印鑑を持つことは世界を支配することと同じとされていました。また、大国の王が属国に印鑑を贈ることもありましたが、これは印鑑を持つことで国同士の結びつきを強める意味がありました。日本でも古代に中国の王朝から純金製の印鑑が贈られたことがありました。

当時の大国だった中国王朝から印鑑を授かるのは日本が国として成り立っていることを認められた証だったのです。時代が進むと共に印鑑は絶対的な権力の象徴ではなくなりましたが、それでも特別な物として扱われていました。

印鑑を押すのは書類の内容を確認して同意したことを示すサインですが、そのように扱われるようになったのは平安時代の後期とされています。当時の貴族が遺言状を作成したり配下の武士を任命する時に使われていました。

現在のように誰でも印鑑を持つようになったのは江戸時代の半ばであり、それまではごく一部の人だけが扱う高級品でした。一般の人は印鑑を持つことができなかったので、代わりに自分の手形を押していたのです。

実印と認印の違いや注意点

印鑑は様々な種類がありますが、実質的に見れば実印とそれ以外の認印に大別されます。実印は市区町村の窓口に届け出た物で、公的に認められています。実印は印鑑の中でも本人が確かに捺印したと証明できる物です。高額な取り引きなど重要な内容の書類には実印を用いることが求められます。

大きな責任が生じる印鑑とも言えるので慎重に扱わなければいけません。実印は印鑑の大きさや刻印内容などに規定があるので、必然的に使用できる印鑑が限られます。特に刻印内容は所持する人の戸籍上の名前と決められているので、イラストや役職名が刻まれている印鑑は実印にすることができません。

また、ゴム印のように変形しやすい材質の印鑑も登録ができないので注意します。実印以外の印鑑はすべて認印です。書類の内容に同意したことを示すための捺印ですが、すべての書類に実印を使うのは適切ではありません。

荷物の受け取りや回覧板の閲覧などは認印でも十分と言えますが、その一方で認印も実印とほぼ同様の法的な効力を持つことを忘れてはいけません。安易な捺印は後に大きなトラブルを引き起こすおそれがあります。書類への捺印は内容に同意したことを示すサインなので、本人がどう思おうと捺印の事実が優先されてしまうのです。

実印はもちろん認印も日頃から適切に管理する他、決して他人に貸さないことが重要になります。銀行印と呼ばれる印鑑もありますが、これは金融機関が独自に定めた名称であり、一般的には認印と同じ扱いです。

ゴム印やシャチハタの特徴

ゴム印は名前の通り、文字を刻んだ面がゴムで作られている印鑑です。人名以外に会社名や役職名、勘定科目などを記すのに用いられます。書類作成をスムーズに行うのに適していますが、柔らかいゴムは摩擦や日光に弱く、使用頻度によってはすぐに傷んでしまうのも事実です。

そのため、ゴム印は短期間だけ使用する使い捨ての消耗品として扱われることもあります。シャチハタはゴム印の一種で、内部に塗料が沁み込ませてあるのが特徴です。朱肉を付けずに捺印ができる手軽さがメリットですが、ゴム印と同様に傷みやすいデメリットもあります。

印鑑を格安で販売する仕組みの詳細

印鑑は長い間、職人が一本ずつ手彫りで作るのが普通でした。現在でも高級品の印鑑は職人が手作業で作成していますが、三文判のような安価な物は機械で大量生産されています。コンピューターに登録されたデータに基づいて文字を刻みますが、手作業と比較すると短時間で済みます。

印鑑の材質も安価なプラスチックがほとんどなので、コストを大きく抑えながら量産することが可能です。格安販売を謳う印鑑の多くはこのような方法で作られています。認印として使うなら安価な量産品でも何ら問題はありません。

また、丈夫で扱いやすい印鑑なら実印登録もできます。格安品でも印鑑としての品質は高級品とほぼ同じと言えるでしょう。

印鑑をきれいに使い続ける工夫

捺印する際はシャチハタを除き、朱肉を印鑑に付けます。しかし、朱肉の色素が印鑑に沁み込んでしまい、見栄えが悪くなってしまうのも事実です。安価な三文判ならそのまま廃棄しても特に問題はありませんが、公的に認められた実印はデリケートに扱わなければいけません。

汚れたからと言って勝手に新しい印鑑と交換することはできないのです。実印以外の認印でも朱肉が沁みて変色した物は決して見栄えが良くありません。朱肉の成分が沁み込んだ部分はきれいにならないので、朱肉を付けた時に正しく対処することが重要になります。

印鑑を汚さないためには捺印後、すぐに朱肉を拭き取るのがもっとも効果的です。乾いた柔らかい布で印鑑を丁寧に拭き、朱肉を取り除きます。朱肉は松やになどの脂肪が含まれているので、布で拭くだけでは完全に取り除くことができません。

しかし、水に濡らしたり洗剤を使うのは印鑑の品質を著しく損なう原因にもなります。印鑑は材質によって扱う際の注意点が異なりますが、朱肉の拭き取りに関してはほとんどの場合、布での拭き取りが最適とされています。

湿気や薬剤による影響は材質ごとに異なるので、これが汚れ落としに最適とは断言できません。その点、布を使った拭き取りならどのような印鑑にも用いることができます。

状況に応じた使い分けが印鑑と長く付き合うコツ

実印登録は多くの場合、高級な材質で作られた印鑑を選びます。丈夫で長持ちする他、見栄えが良いことも実印として好まれる理由です。しかし、安価な材質で大量生産された格安印鑑でも条件を満たせば実印登録ができます。

お気に入りの印鑑を長く使い続けるには状況に応じて複数の印鑑を使い分けると共に、きれいな状態を保つように心がけます。